任意後見
将来の判断能力低下に備え、あらかじめ信頼できる方を後見人として定めるお手続きです
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。
移行型の任意後見契約とは
移行型の任意後見契約とは、任意後見契約とあわせて、財産管理や身上保護などを行う委任契約を同時に結ぶ契約の形態を指します。将来に備えるだけでなく、契約締結後から継続的に本人をサポートできる点が特徴です。
一般的な将来型の任意後見契約の場合、契約を結んでいても本人の判断能力が低下し、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されるまで契約の効力は発生しません。そのため、身体が弱って寝たきりの状態になったとしても、判断能力が保たれている間は任意後見制度は開始されないことになります。
一方、移行型の任意後見契約では、契約を結んだ段階から委任契約に基づく支援が始まります。
具体的には、次のようなサポートが行われます。
✔定期的な連絡や面会による見守り
✔預貯金の管理などの財産管理
✔生活や医療に関する身上保護のサポート
そして、本人の判断能力が低下した段階で任意後見契約へ移行し、本格的な後見業務が開始される仕組みになっています。
見守り契約
将来に備えて任意後見契約を結んだ後、実際にその効力が発生するまでの間に、ご本人の生活状況や判断能力の変化を定期的に確認するための契約です
将来、任意後見人となる予定の方が本人と連絡を取り合いながら、適切なタイミングで任意後見の手続きを進められるようサポートする役割があります。
任意後見契約だけでは不十分な場合も
任意後見契約は、判断能力が低下したときに備える制度ですが、契約を結んだだけで自動的に効力が生じるわけではありません。
実際に判断能力の低下が見られた際に、家庭裁判所へ申立てを行い、任意後見監督人が選任されて初めて制度が開始されます。しかし、一人暮らしの方や近くに親族がいない場合、判断能力の低下に周囲が気づきにくいことがあります。その結果、申立てが行われず、任意後見契約が活用されないままになってしまう可能性もあります。
見守り契約の役割
見守り契約を結んでおくことで、任意後見人となる予定の方が定期的に本人と連絡を取り、生活状況や健康状態を確認することができます。
その中で判断能力の変化が見られた場合には、家庭裁判所への申立てを行うタイミングを判断することが可能になります。
このように、見守り契約は任意後見契約を円滑に活用するための大切な役割を担っています。
見守り契約の内容は法律で細かく決められているわけではなく、当事者同士で自由に決めることができます。
下記のようにご本人の生活状況や希望に合わせて柔軟に設定することができます。
✔定期的に電話で近況を確認する
✔数か月に一度、直接面会して生活状況を確認する
成年後見
相続人に判断能力が不十分な方がいる場合のお手続きです
遺産分割協議には、相続人全員の承諾が必要です。しかし、相続人の中に認知症などにより判断能力が不十分な方がいる場合、遺産分割協議を進めることができなくなります。このような場合は、成年後見制度を利用し、成年後見人等を選任してもらう必要があります。
成年後見制度とは
成年後見制度は知的障害、精神障害、認知症などの理由により判断能力が十分でない方が、不利益を被らないよう家庭裁判所に申し立てをして、その方を法律的に支援してくれる人を選任してもらう制度です。判断能力にの程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3種類の制度を利用できます。家庭裁判所に選任された成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為を行ったり、本人が同意を得ないで行った不利益な法律行為を取り消したりすることにより、本人を保護、支援します。なお、成年後見人等が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要な範囲の行為は本人が自由にすることができます。
申立に必要な書類と費用
成年後見制度を利用するには、本人の住所地の家庭裁判所に申し立てをする必要があります。申し立ての必要な書類と費用はおよそ以下のとおりですが、事案によって多少異なります。詳しくは管轄の家庭裁判所に聞いてみるのがよいでしょう。
・申立書(定型の書式が家庭裁判所に行けば無料でもらえます)
・申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
・本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
・成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通(候補者がいる場合)
※身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書の事です。
※登記事項証明書は、東京法務局などが発行する後見開始の審判等を受けていないか、あるいは既に受けているかについての証明書のことです。
・親族関係図
・本人の財産状況、収支予定表
・後見人候補者の身上書
・親族の同意書 など
また、費用としては以下のものがかかります。
1)収入印紙
・後見開始の申し立て800円
・保佐開始の申し立て800円
※同意権追加付与の申し立て、代理権付与の申し立てを同時に行う場合、1つの申し立てにつき800円
・補助開始の申し立て800円
※同意権追加付与の申し立て、代理権付与の申し立てを同時に行う場合、1つの申し立てにつき800円
2)切手
各裁判所によって異なりますが、およそ3,000円〜5,000円程度です。
3)登記費用
成年後見制度では、その結果を登記する必要があります。そのための費用として登記印紙4,000円分が必要となります。
※収入印紙とは異なりますのでご注意ください。
4)鑑定費用
成年後見制度を利用する場合は、本人の精神の状況について鑑定をしなければならない場合があります。鑑定費用の額は事案にもよりますが、およそ5万円〜15万円程度です。
委任契約
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、人が亡くなった後に必要となる各種手続きを、あらかじめ第三者へ任せておく契約のことです。
本人(委任者)が生前のうちに、信頼できる個人や法人などに対して、死亡後に行う事務手続きの権限を委任することで契約が成立します。
独身の人や子どもがいない夫婦など、亡くなったあとの手続きをしてくれる家族が身近にいない方は、死後事務委任契約を推奨します。死後事務委任契約を結ぶことにより、入院先や入居施設への負担を減らせるからです。
死後事務委任契約で委任できること
✔法事関係:通夜、告別式、納骨、埋葬、永代供養の手続
✔行政関係:死亡届、年金受給停止、埋葬料や葬祭料の申請
✔ライフライン関係:電気代やガス代などの公共料金の解約・精算
✔医療関係:医療費、入院費の精算
✔住居関係:家賃や管理費の精算、老人ホームなどの退去手続
✔財産関係:相続財産清算人の選任、遺品の整理・処分
✔デジタル遺品関係:デジタル機器のデータ消去、デジタルサービス解約、SNSアカウント削除
✔その他:親族・関係者への連絡など
特別代理人
ここでは、特別代理人についてご説明します。相続が発生した際、相続人の中に未成年者がいる場合や、後見人と被後見人がいずれも相続人となる場合には、代理人を立てる必要があります。相続人が未成年者である場合、通常であれば、未成年者の代理人は本人の父母がなることが一般的ですが、相続人の中に未成年者の父母が含まれている場合、父母は未成年者の代理人になることはできません。未成年者および父母との間に相反する利益行為がある場合には、父母は代理人になることができなくなるのです。
この場合、親権者は子供のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。特別代理人には、利害関係のない候補者を立てることが必要となりますが、一般的には利害関係の生じない親族や、第三者などを候補者とします。同様に、後見人と被相続人がいずれも相続人となる場合にも、利益が相反しない特別代理人を選任する必要があります。特別代理人選任の申立てに当たっては、家庭裁判所にて用意されている申立書に必要事項を記載して、以下の書類を添付して申請します。家庭裁判所は申立てを受けると、申立て内容、候補者を判断するために書面にて照会することや、直接事情を確認することもあります。
必要書類
・親権者(後見人)の戸籍謄本
・未成年者相続人(被後見人)の戸籍謄本
・特別代理人候補者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票
・遺産分割協議書(案)
※裁判所から依頼があった場合には、上記以外の書類を求められることがあります。特別代理人の選任申立てに関しては、事前に相続手続きを民法に則って進め、遺産分割協議書の案を提出する必要があります。当センターでも、無料相談からお客様のご相談にのる事が可能です。お気軽にお問合せください。